NOWHEREMAN は、現在準備中です。

2019/02/23 12:35

NOWHEREMANの吉田です。


新たにディストロ音源として、大阪を拠点に活動を続けるHELLO,SADNESSのミニアルバム「Step Forward」を扱わせていただきます。
2018年12月にリリースとなったスーパーセンチメンタルオルタナトリオの最新作です。こちらもめちゃくちゃ良い音源。
クレジットには載せていませんが、僕が本作のアートワークを担当しました。
マッチを持つ手と、錆びて朽ちて塗装が剥がれた鉄。2枚の写真を使いました。
錆びた鉄、その無機物に不思議と感じる人間らしさ。朽ちるときは人間も鉄も一緒なんだな…みたいな。
そしてマッチで温度とさらなる人間らしさを。そんなジャケットです。


HELLO,SADNESSとの出会いは2016年、ドラムのテルシくんを介してでした。
当時サポートメンバーだった彼から物販のデザインを依頼されたのが最初のはず。
一回もライブを観たことのない、ましてやテルシくん以外のメンバーに会ったことすらないバンドのデザインをやるということに戸惑いつつ…
そこから実際ライブを観て、メンバーにちゃんと挨拶をするまでにかなり期間が空きましたが、ずっとお世話になっています。

で、本作のデザイン依頼は2018年の10月頃だったかな?テルシくんの車の中で、でした。
そのときの僕は、正直誰の依頼も受けたくありませんでした。
依頼を受けると、どうしてもアイデアや体力や精神力なんかをそちらに注ぎ込まなきゃいけないですからね。
そもそも受けた人間はそうあるべきだと思ってるんですけど、今自分にそれができるのか?という不安があったので。
でもなんだかんだ、結局受けることにしました。

「他に頼める人がいない」とか「それでも吉田くんに挑みたいという気持ちがあるかどうかっすよ」とか、
そういう感じで説得されたのを覚えています。僕も男なので、そう来られると無碍にはできないんです。
「挑みたい気持ちはあるけど、正直やれるかどうか、やれたとして良いものが出来るかどうか、本当に分からんよ」
と、それはもうモニョモニョと濁すような返事をしましたよ。不安だったので。

受けてからはとにかく時間との闘いで、いちいち自分の不安とガッツリ向き合ってる暇もありませんでした。
次はもっとお互い計画的に動きましょうと思いますが、あまり不安の相手をせずに済んだのでそこは良かったのかもしれないです。
ただ、次作のアートワーク担当が僕じゃなかったとしても、計画的に動いて損はしないです。しないですよ。

短期間で無事レコ発に間に合ったのは、たぶんテルシくんとの関係が出来ていたからだと思います。
彼とは2年くらい前、週3回ペースで会って遊んで、お互い「お金ないなぁ」とか言いながら酒を飲んでました。
そこで好きなバンドや音源の話、服の話、昔話、愚痴、色々話しました。
その時間が無駄じゃなかったと思うのは、共通言語のようなものがたくさん生まれたからです。
好きや嫌いの傾向が、完全にとはいかないまでも、自然にイメージできるようになったことは確実にプラスでした。
共通言語があると、暗中模索の中から光明を見出すのが格段に早くなります。相手の狙いに対して、そこまで的外れな回答をしなくて済むようになる。
これは誰かに何かを依頼する/される側双方にとって極めて重要なことです。
共通言語を探ったり生み出したりするために「打ち合わせ」というものは存在するんだなぁと強く感じました。
本作においては共通言語がすでにたくさんあったから何とかなったんだなぁ、とも。
あれ、、これ何の話?



HELLO,SADNESSの音楽は、人の心に棲む孤独を撫でるようだといつも思います。
見た目には平熱的だったり無機質的だったりするバンドアンサンブルの奥には確かな情念のうねりがあって、
テラマエさんの声には儚さや無常が、それらに手を伸ばす優しさが、伸ばしたところでどうにもならない弱さが乗っかっていて。
そして本作はそれでもやっぱり手を伸ばす、一歩を踏み出そうとする強さを秘めた全5曲のドラマ集です。
触れようとしても触れられなかったり、振り絞った声が空を切ったり、望んでも時を遡れなかったり、
そんな中でもがく様を尊いと思うのは性格が悪い証拠なのかもしれないですけど、
そういううたこそが普遍だと僕は思うんです。普遍のうたを歌うバンド、その音源。
Step Forward、HELLO,SADNESS。是非一人でも多くに知られてほしい。

本作2曲目に収録の「フロアライト」のMVを貼りますので、ご覧ください。


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